- 任意整理をすると貸金業者から訴えられたりしないか?
- 既に裁判所から通知が来ているけど、任意整理をすることはできるか?
- 任意整理をしても財産が差押えられることはないのか?
任意整理をすると貸金業者から裁判をされたり、自宅等の財産を差し押さえられるんじゃないか?質問を受けることがあります。
任意整理と裁判の関係について、それぞれ解説します。
任意整理をすると訴えられるのか
- 任意整理をして貸金業者から訴えられることはありますか?
-
任意整理後も貸金業者から本人を訴えることはできますが、実際にはほとんど訴えられることはありません。
稀に任意整理開始から和解までに時間がかかると訴えてくる会社もありますが、そういった会社があれば早めに手続きを進めて行くので、実際には訴えられることはほとんどありません。
任意整理の依頼を受けた後は専門家は貸金業者に対して「受任通知」という書面を送ります。
この受任通知を送った後は貸金業者から依頼者に連絡をとることは禁止され、代理人である専門家と貸金業者との話し合いになります。
受任通知を送った後も貸金業者から依頼者を訴えることまでは禁止されておらず、貸金業者はしようと思えば本人を訴えることはできます。
訴えてくる会社はどこ?
良く名前を聞くような大手の会社はあまり訴えてくることはありません。
小規模な会社や、大手でも一部の会社だけが訴えてくる傾向にあります。
訴えてくるところは任意整理の通知が届いた後、数か月以内に和解を成立させないと訴えてきます。
しかし、訴えてくる会社がある時はなるべく早めに手続きを進めるようにすれば、任意整理をしても訴えられることはほぼありません。

既に訴えられている場合
- 訴えられて裁判所から通知が来ている場合も任意整理はできますか?
-
既に訴えられている場合は任意整理ではなく、裁判上の和解になることが多いです。
裁判に出頭していると裁判所で話し合いをすることになり、話し合いがまとまれば借金の元金と和解時までの利息や遅延損害金を分割で返済するという内容で和解することになります。
判決や支払い督促が確定すると裁判上の和解はできなくなるので、なるべく早めに対応をする必要があります。
判決前や支払督促が確定する前
訴状が届いても裁判の期日に出頭をしていると、借金の元金と和解時までの利息や遅延損害金の合計額を分割で支払うという内容で和解ができることが多いです。
支払督促が届いた時も異議を申し立てると通常の裁判に移行するので、通常の裁判になった以降は上記と同じように裁判所で話し合いができます。
あくまでも話し合いなので、本人側と貸金業者側で話し合いがまとまらなければ一括で支払えという内容の判決になることもあります。
上記の手続きを弁護士や司法書士に依頼することもできます。
訴えられてもきちんと裁判所での対応を行えば任意整理と同じように、利息はなくなって分割で支払っていくことになる可能性が高い
既に判決や、支払い督促が確定している
この状態ではもう裁判上での和解はできませんが、判決後でも裁判外の話し合いで任意整理に応じてくれる貸金業者もあります。
しかし、給与の差押え等ができる場合は貸金業者から見ると任意整理に応じるメリットがないため、判決がでる前に比べると任意整理に応じない可能性が非常に高くなります。
なるべくなら訴えられる前に専門家に相談すべきです。
裁判が終わった後も任意整理に応じてもらえることがあります
任意整理に応じてもらえない場合に、返済ができない時は個人再生や自己破産を検討する必要があります

借金が時効になっている可能性もある
長い間支払いを滞納して放置している借金の件で裁判所から書類が届いても、既に5年以上支払っていなかったのであれば借金は時効で支払いをする必要がない可能性があります。
時効になっている場合も答弁書に時効を援用する旨を記載して、裁判所へ時効だから支払わないという旨の意思表示が必要です。
時効になっているのに裁判ができるのか?と思うかもしれませんが、時効期間が過ぎていても裁判をすることは可能です。
任意整理で財産は差し押さえられるのか?
- 任意整理をして財産が差し押さえられてしまうことはありますか?
-
任意整理をして財産が差し押さえられることはほとんどありません。
任意整理後に訴えられて判決が確定するところまでいかないと差押えはできませんが、そもそも任意整理をしても訴えられる可能性は低いです。
任意整理後に返済ができず訴えられて、判決を取られると財産が差押えられる可能性があります。
任意整理をしても財産が差し押さえられることはほとんどありません。
給与の差押えについては、差し押さえをする側が給与の振込先の口座を知らなければ差し押さえをすることはできません。
さらに裁判で判決をとられたり、支払督促が確定しなければ差し押さえはできないので、振込先の口座を知っていても突然差し押さえられてしまうということもありません。
そもそも任意整理をしても訴えられることがほとんどないため、財産が差押えられることはほとんどありません。
給料の差し押さえできる金額というのは、税金や保険料等を引いた手取り金額の1/4が差し押さえできる上限です。
3/4は給料の差し押さえがあっても受け取ることができます。
しかし、手取り額の3/4が33万円を超える場合は、受け取れる上限金額は33万円になります。
33万円を超える給料は全て差し押さえられてしまいます。
手取り額の3/4が50万円の場合、3/4の37万5,000円を受け取れるのではなく、33万円までしか受け取れず残りは差し押さえられます。
裁判を起こされてしまったら
相手方の会社によっては任意整理に応じてもらえずに、裁判を起こされてしまう場合があります。
また、任意整理後に返済ができないと裁判を起こされることがあります。
裁判を無視していると判決をとられて、財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
裁判を起こされてしまった場合も、裁判を無視せずきちんと出席していれば多くの場合は裁判所で和解になるので、やはり財産を差し押さえられてしまうようなことはほとんどありません。
任意整理をしていなくても滞納していれば訴えられて財産が差押えられるので、任意整理をしたことが原因で財産が差押えされるということではありません。

銀行を任意整理する場合
銀行からの借金を任意整理すると銀行口座が凍結されて、借金と銀行口座にある預貯金とで相殺されてしまいます。
ただしこの場合も、任意整理前に口座からお金を抜いておけば口座が凍結されても借金と相殺されることはありません。
自動車ローン返済中の場合
自動車ローン返済中の会社を任意整理すると、車は引き上げられ売却されてしまいます。
ただし、任意整理の場合はある程度、任意整理をする会社を選択することができます。
そのため任意整理の対象から自動車ローン返済中の会社を外すことで車を引き上げられることなく、その他の会社のみを任意整理することができます。
差し押さえ後の任意整理
- 差し押さえられた後に任意整理をして差し押さえを止めることはできますか?
-
差し押さえをされた後に任意整理をしても、差し押さえを止めることはできません。
そのため、差し押さえをされる前に、支払いが難しくなったらなるべく早めに弁護士や司法書士に相談するべきです。
財産が差し押さえられてしまった後は、任意整理をしても差し押さえを止めることはできません。
相手方にしてみたら手間と時間をかけて裁判手続きをして差し押さえを行っているので、差し押さえを止めるメリットがほとんどないからです。
自己破産の場合
自己破産なら裁判所の開始決定がでた時点で差し押さえ等の強制執行は止められますし、管財事件で給料が差し押さえられている場合は給料の全額を受け取れるようになります。
しかし同時廃止の場合は自己破産の開始決定後~免責が確定するまでは差し押さえられている部分の給料は受け取ることはできません。
任意整理と裁判所まとめ
任意整理を依頼すると貸金業者から訴えられないか?と心配する人は居ますが、実際に任意整理をして訴えられることはほとんどないことです。
たまに任意整理を受任してから和解をするまでに数か月時間がかかると、訴えてくる会社もありますが訴えてくる会社はほぼお決まりなので、そこの会社は早めに和解を成立させ、訴えられる前に任意整理をすることが可能です。
既に訴えられている時は、任意整理手続きではありませんが、裁判所で話し合いを行って、分割で返済をするという内容で和解に至ることが多いです。
既に判決等が出ていても分割払いの交渉に応じてくれる会社もありますが、やはり判決後だと交渉は難航します。
しばらく支払いを滞納して放置の状態になっている債権者から訴えられた時は、借金の時効を疑うべきです。
差し押さえがされるのは主に、借金の支払いを滞納している場合です。
その場合もすぐに差し押さえられるということはなく、支払いの督促が何度もあり、その後に裁判等を起こされ、それでも放置しているような場合に最終的に財産が差し押さえられてしまうことになります。
滞納⇒督促がくる⇒放置⇒訴えられる⇒放置⇒差し押さえられるという流れです。
まれに任意整理をすると訴えてくる会社もありますが、その場合も裁判の中で和解に至ることが多いので、やはり差し押さえまで行くようなことはほとんどありません。
ただし銀行を任意整理する際は銀行口座が凍結されて預貯金と借金が相殺されますし、自動車ローンを返済している会社を任意整理すると車が引き上げられてしまう可能性があります。
任意整理では財産が差し押さえられることはほぼありませんが、銀行や自動車ローンを任意整理する際は注意が必要になります。