- 債務整理をすると不動産は処分されてしまうのか?
- 住宅ローン返済中に債務整理をすると自宅はどうなるのか?
返済ができなくなってきたので債務整理をしたいけど、不動産等の財産はどうなるのか不安で踏み切れない人は多いと思います。
債務整理には任意整理と個人再生、自己破産があり、どの債務整理をするのか?
ローン返済中なのか完済しているのかにもより、それぞれ不動産が処分されてしまうのかは異なります。
債務整理ごとに不動産を持っているとどのような影響があるのか?住宅ローンを返済中の場合はどうなるのか?解説していきます。
債務整理をすると不動産は処分されるのか?
任意整理、個人再生、自己破産で異なります。
任意整理
- 任意整理で不動産が処分されることはありますか?
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任意整理では財産が処分されることはないので、不動産を持っていても処分されることはありません。
そのため自分名義のマイホームを持っていても、そのまま住み続けることができます。
任意整理では不動産や車等の財産を持っていても、財産が処分されることはありません。
マイホームを持っている場合もそのまま住み続けることができますし、不動産以外の車等のその他の財産も処分する必要はあります。
不動産を担保に入れていたり自動車ローンを組んでいると、その不動産担保ローンや自動車ローンを任意整理すると不動産や車が処分されます。
ただ、任意整理は手続きする業者を選択することができるので、不動産担保ローンや自動車ローンを任意整理しなければ不動産や車が処分されることはありません。
その他の借金の利息をなくして、元金だけを分割で返済していくとことができます。
不動産担保ローンや自動車ローンを除外して任意整理をしても支払いができない場合は、個人再生や自己破産を検討する必要があります。


個人再生
- 不動産を持っている人が個人再生をするとどうなるんですか?
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個人再生では不動産担保ローンも個人再生の対象になるので、不動産担保ローンを返済中の人が個人再生をすると不動産は売却されてしまいます。
ローンが残っていない場合は不動産は処分されませんが、個人再生には「清算価値保証の原則」があるので個人再生をしても借金があまり減額されない可能性があります。
個人再生は全ての借金が対象になるため、不動産を担保に入れて借入をしていると、その借入も必ず個人再生の対象にしなければなりません。
車等のローンを返済中のケースも同様で、個人再生をするとその車等も処分されてしまいます。
不動産を持っていてもローンを完済していたり、そもそも担保に入れていなケースでは不動産が売却されることはありません。
しかし、個人再生には清算価値保証の原則というものがあります。
個人再生をして減額される借金と不動産等の財産の金額を比較して、高いほうの金額を個人再生の支払い金額にすることになります。
仮に借金が1,000万円あり、価値300万円の不動産を持っている人が個人再生をすると
通常であれば1,000万円の借金は200万円まで減額されます。
しかし、減額後の200万円よりも資産の300万円のほうが高いので、高いほうの300万円を分割で返済していくことになります。
- 1500万円未満の借金=借金額の5分の1(減額後の金額が100万円未満の場合は100万円)
- 1500万円以上3000万円未満の借金=300万円
- 3000万円以上5000万円未満の借金=借金額の10分の1
上記の減額した金額と、自己破産をした場合に財産を売却した金額(清算価値)を比べて、高いほうの金額を原則3年(36回)で分割で支払う手続きです。

自己破産
- 不動産を持っている人が自己破産をするとどうなりますか?
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自己破産では不動産は処分されることになります。
自己破産のではローンの返済中でも完済していても、不動産は処分されます。
自己破産では基本的に財産は処分されるので、ローン返済中か完済しているかに関わらず、不動産は処分されることになります。
不動産以外の財産は自由財産として残しておける場合があります。
- 99万円以下の現金
- 20万円以下の預貯金
- 売却価格20万円以下の自動車
- 20万円以下の保険の解約返戻金
- 退職金の見込み額が160万円以下
- 家財道具等
住宅ローン返済中に債務整理をするケース
- 住宅ローンを支払い中に債務整理をすると自宅は処分されることになりますか
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任意整理か個人再生なら、自宅を処分されることなく債務整理ができます。
任意整理なら住宅ローン以外の借金を任意整理の対象にすれば、自宅を処分せずに任意整理ができ、
個人再生では住宅資金特別条項を利用できれば、自宅を処分せずに住宅ローン以外の借金を減額してもらうことになります。
自己破産では財産の処分があるので自宅も処分されます。
任意整理
住宅ローンを任意整理の対象にしなければ自宅を処分されることはありません。
任意整理は対象にする業者を選べるので、住宅ローンを組んでいる銀行を任意整理から除外して他の業者のみを任意整理することができます。

個人再生
条件はありますが、マイホームを守りながら債務整理を行うなら1番おすすめの手続きです。
住宅資金特別条項を利用できれば、住宅ローンは個人再生しないで、住宅ローン以外の借金を減額してもらい返済していくことができます。
- 自宅が個人再生をする本人名義で、本人が済むための自宅であること
- 住宅ローン以外の担保権が設定されていないこと
- 住宅ローン滞納により保証を実行されてから6ヶ月以上経過していないこと
自己破産
自己破産では住宅ローンも自己破産の対象にしなければならないので、自己破産をすると自宅を失うことになります。
自宅を残したいなら
任意整理と個人再生では住宅ローンは手続きせず、マイホームを守りながら他の借入のみの支払いを楽にすることができます。
しかし任意整理や個人再生では、自己破産のようにすべての支払いが免責される訳ではないので、他の借金の支払いをする必要があります。
任意整理や個人再生をしても住宅ローンの支払いが厳しいケースでは、銀行と話し合いをして支払い計画の見直しをするか、自己破産をするしかありません。
自己破産をすると自宅を競売か任意売却をすることになり自宅を失うことになります。
しかし、借金の支払いはなくなるので、毎月の返済に追われる生活から抜け出すことができます。
まとめ
不動産を持っている人が債務整理をする場合、債務整理手続きによって不動産が処分されることがあります。
- 任意整理
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不動産担保ローンや住宅ローンを任意整理手続きから除外することで、不動産を処分することなく任意整理をすることができる
- 個人再生
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- 個人再生の場合は住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローンは個人再生に含めずに他の債務だけを個人再生して借金を減額することができる
- 住宅ローンではなく、不動産担保ローン等では住宅資金特別条項は利用できないため、不動産は処分される
- すでにローンを完済している場合も清算価値保証の原則があるので、減額後の借金の金額と資産価値とで比較して高いほうの金額を返済することになる
- 自己破産
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自己破産では不動産は処分されることになる