- おまとめローンのメリットとデメリット
- 任意整理のメリットとデメリット
- おまとめローンと任意整理どちらが良いのか?
多重債務で支払いが難しい状況の場合の対処法としては、おまとめローンを組む方法と任意整理をする方法があります。
いくつもの会社から借入をして多重債務の状態に陥り返済がむずかしい時は、おまとめローンを組んで返済先を1社に絞ったほうが返済の手間も減りますし、月々の返済額も下げられるので返済は楽になります。
または任意整理をして利息を免除してもらい、元金だけの支払いにするという方法もあります。
おまとめローンや任意整理でも支払いが難しい場合は、個人再生や自己破産を検討するべきです。
おまとめローンと任意整理の比較
返済が苦しく、少しでも返済を楽にしたいなら任意整理の方がおすすめです。
ただし、任意整理をするとブラックリストに登録されます。
おまとめローンではブラックリストには登録されませんが利息を支払う必要がある以上、任意整理よりも返済は楽にはなりません。
おまとめローンと任意整理では、利息を免除してもらえる任意整理のほうが毎月の返済負担を減らし、はやく完済できることから根本的な解決に繋がりやすいと言えます。
しかし、任意整理のデメリットはブラックリストに登録ことです。
ブラックリストに登録されたら困るからとおまとめローンを選ぶ人もいますが、任意整理と比べおまとめローンでは利息が発生する以上、完済までの間に支払う総額は多くなり、完済までの期間も長くなります。
おまとめローンを組んだけど、その後に返済が苦しくなって結局後々に任意整理をすることになる人もいます。
おまとめローンのメリット
おまとめローンを組んで借金を1つにすることで通常は利息も下がり、それに伴って毎月の返済金額が減る可能性があります。
借金を一本化できれば、返済先も1つになるので管理も楽になります。
債務整理するとブラックリストに登録されますが、おまとめローンではブラックリストには登録されません。
返済が楽になる
何社からも借りている状態では、借入をしている会社の数に応じて毎月の返済が必要になりますし、返済日も会社ごとに違ったりして手間がかかります。
その点、おまとめローンなら返済先は1社だけになり、返済等の手間が減るため管理は楽になります。
返済の際に貸金業者によっては手数料が必要な場合もありますが、何社もあると毎月の手数料だけで結構な金額になります。
そういった点からも返済先が1社になるメリットがあると言えます。
利息が下がる場合がある
おまとめローンを組むことで利息を下げることができる可能性があります。
利息は法律で上限利率が決められています。
利息制限法の金利の上限 | |
10万円未満の借入 | 20% |
10万円以上~100万円未満の借入 | 18% |
100万円以上の借入 | 15% |
100万円以下の金額を数社から18%の利息で借りているよりも、1社から100万円以上借りた方が利息の上限は15%になるため利息は下がることになります。
利息制限法の上限よりもさらに低い利息の商品も多数あります。
毎月の返済額が減る
おまとめローンを組むことで利息が下がれば、毎月の返済額も減る可能性が高いです。
ブラックリストには載らない
債務整理では信用情報機関に事故情報が記載され、ブラックリストに登録されますが、おまとめローンではブラックリストには載りません。
おまとめローンは債務整理とは関係がないのでブラックリストには登録されることはありません。
担保や保証人がついていても問題ない
担保や保証人を付けている借金がある場合、債務整理をすると保証人に請求が行きますし、担保が付いていると担保物件が差押えされてしまいます。
おまとめローンではおまとめローンを組んで保証人や担保が付いている借金を完済するだけなので、担保が差し押さえられたり、保証人に請求が行くこともありません。
- 返済先が減り管理が楽になる
- 利息が下げられる可能性がある
- 月々の返済額が減る
- ブラックリストは関係なし
- 担保、保証人がついていても問題なし
おまとめローンのデメリット
おまとめローンは審査にとおるのは難しいです。
おまとめローンを組んで完済した会社から、再度借りてしまう人が多いのもデメリットと言えます。
任意整理とおまとめローンを比較すると、おまとめローンでは利息を支払う必要があるので、借金の根本的な解決にならない可能性あります。
任意整理は利息が免除される分、毎月の返済額や完済までの期間等、返済が楽になる点では任意整理の方がメリットが大きです。
完済した会社から借入をしてしまう
おまとめローンで完済した業者のカードは解約をしなければ基本的には再度利用できます。
利用できる状態にあれば、せっかくおまとめローンを組んで完済した業者から再度借りてしまう危険があります。
例えばおまとめローンを組んでアコムを完済したのに、後々にアコムのカードを再度利用して借入をしてしまうことがあります。
任意整理と比べて返済額は多くなる
任意整理は利息をカットして元金のみを分割で支払う手続きです。
おまとめローンでは利率が低い商品が多いですが、それでも任意整理のように利息が0%になるものではありません。
おまとめローンでは返済が楽にならない人もいる
ブラックリストに登録されることを嫌い、その場しのぎでおまとめローンを組む人もいます。
しかし、おまとめローンでは利息を支払う必要があるため、おまとめローンを組んでも返済が楽にならずに、結局後々で債務整理をすることになってしまう人も多いです。
任意整理ではブラックリストのデメリットはありますが、おまとめローンでは返済が楽にならないような場合は最初から任意整理を選択するべきです。
- 完済した業者から再度借りてしまう恐れ
- 利息があるので任意整理と比べ返済額は多い
- おまとめローンを組んだけど、結局返済ができなくなり債務整理をする人は多い
任意整理のメリット
任意整理は利息を0%にして、元金だけを3年~5年ほどで支払って完済を目指す手続きなので、完済までに支払う金額が少なくなり、完済までの期間も短くなり、毎月の返済額も少なくできる可能性があります。
※参考:東京司法書士会【債務整理】
利息をカットできる
任意整理は貸金業者と交渉を行い任意整理後の利息を0%にして、元金のみを分割で支払う手続きです。
利息がなくなれば、
- 毎月の返済金額が下がる可能性がある
- 完済までの返済総額が減る
- 支払った分だけ元金が減るので完済までの期間がはやくなる可能性がある
上記のメリットがあります。
保証人や担保は求められない
任意整理では新たな保証人や担保を求められることはありません。
任意整理をしないで支払っていくと
・200万円の借金
・利息15%
・毎月45,000円の支払い
200万円を利息15%で借りた場合は、毎月利息の支払いだけで25,000円かかるため、毎月45,000円の支払いのでは半分以上が利息の返済になります。
・完済までに支払う利息の総額=約93万円
・完済までにかかる期間=5年5ヵ月
任意整理した場合
・200万円の借金
・利息0%
・60回の分割払い
・完済までに支払う利息の総額=0円
・完済までにかかる期間=5年
・毎月の返済額=34,000円
取引の内容にもよりますが任意整理をして利息が0%になることで、完済までに必要な総額が大きく減り毎月の返済額も少なくなり、完済までの期間も早くなるというメリットがあります。
- 利息のカット
- 担保、保証人不要
任意整理のデメリット
任意整理の1番のデメリットはブラックリストに登録されることですが、ブラックリストの影響は任意整理後に完済してから5年経てばなくなります。
ブラックリストに載る
任意整理を行えば信用情報機関にその旨が登録され、いわゆるブラックリストに載ります。
ブラックリストに登録されている間は、お金を借りたりローンを組んだり、クレジットカードを持つことは難しくなります。
ブラックリストの影響は、完済してから5年経過するとなくなります。
担保や保証人がついていると問題になる
担保を取られている場合に任意整理を行えば担保が実行され、担保をつけている自宅等が売却されます。
保証人がいる状態で任意整理を行えば、任意整理の効果は保証人には及ばないので保証人へ請求をされる可能性があります。
- ブラックリストに載る
- 担保、保証人がついている時は問題がある
おまとめローンの後にチェックすべきこと
おまとめローンで完済した会社で、過払い金があるかどうかは確認したほうがいいです。
2007年以前からの取引だと過払い金がでることが多いため、2007年よりも前から借入がある人は、過払い金が返ってきたらおまとめローンも完済できることもあるので必ず確認すべきです。
利息制限法の金利の上限 | |
10万円未満の借入 | 20% |
10万円以上~100万円未満の借入 | 18% |
100万円以上の借入 | 15% |
おまとめローンで完済した業者に過払い金があるかどうかチェックするべきです。
上記より高い利息で取引を行っていると過払い金は発生しますが、ほとんどの会社が2007年の途中で利息を見直しているので、2008年以降に借り始めた人は取引の当初から法律の制限内の利息のため、過払い金は発生しません。
完済後の過払い金請求であれば、過払い金を回収してもブラックリストに載ることもありません。
※任意整理をする際にも、過払い金があるかどうかは必ず確認されます。
参考:高利を支払っていた場合には、取り戻すことができるのですか?|法テラス
おまとめローンや任意整理でも返済ができない時は
おまとめローンや任意整理では支払いができない場合は、他の債務整理をするべきです。
個人再生なら借金を減額してもらって、減額後の借金を分割で支払っていくことになり、自己破産では借金は帳消しになるので借金の返済をする必要がなくなります。
おまとめローンや任意整理をしても返済ができないのであれば、後はもっと強力な他の債務整理を検討する必要があります。
個人再生をする
個人再生では借金が減額されて、減額した借金を3年=36回の分割で返済していくことができます。
個人再生は任意整理と異なって、裁判所を通して行う手続きです。
- 1500万円未満の借金=借金額の5分の1(減額後の金額が100万円未満の場合は100万円)
- 1500万円以上3000万円未満の借金=300万円
- 3000万円以上5000万円未満の借金=借金額の10分の1
自己破産をする
自己破産を行うと、借金の支払いを免除してもらえるので、借金の支払いをする必要がなくなります。
ただし、自己破産では財産が処分される等のデメリットもあります。
自己破産も裁判所を通して行う手続きです。