過払い金請求と任意整理は異なる手続きですが、場合によっては任意整理をしようと手続きを進めていたら、任意整理ではなく過払い金請求になることもあったりします。
過払い金請求と任意整理の違い
過払い金請求と任意整理は別の手続きなんですよね?
そうだね。
過払い金請求は払い過ぎた利息を返してもらう手続きだし、任意整理は借金の支払いを楽にする手続きだから別の手続きではあるよ。
借金が残っている場合に、任意整理しようとしたら過払い金が発生していることもありますよね?
そのとおり。
任意整理を検討していたけど、引き直し計算を行ったら借金が全てなくなって過払い金が発生していたということもあるから、そういう意味では全く別の手続きという訳でもないんだ。
過払い金は以下の利息を超えて支払っていた場合にのみ発生します。
・10万円以上~100万円未満の借入=18%
・100万円以上の借入=15%
一方、任意整理は借金の支払いが厳しくなった時に利息を0%にしてもらい、元金だけを分割で支払っていく手続きです。
任意整理では信用情報に事故情報が載り、いわゆるブラックリストに登録されることになりますが、過払い金請求ではブラックリストに載ることはありません。
任意整理が過払い金請求になる原因
任意整理をしようとしていたのに過払い金請求になるのはどんな場合ですか?
過去に法律の制限を超える利息で支払いをしていた人だけなんだけど、
借金が残っていたのに引き直し計算をしたら借金がなくなって逆に払い過ぎていたということがあり得るよ。
ふむ、確かにそれだと借金がなくなるから任意整理ではないですもんね!
そうだね。
この場合は任意整理ではなく過払い金請求という手続きになるから、ブラックリストに載ったりすることもないよ。
過去に法律の制限を超える利息で取引を行っていた場合は、任意整理希望の場合でも法律内の利息に見直しての計算=引き直し計算を行います。
引き直し計算の結果=借金がなくなる場合
引き直し計算の結果、借金が0円になり、さらに払い過ぎているものがあった場合はそれが過払い金になるので、手続きも任意整理ではなく過払い金請求になります。
その場合はブラックリストに載ることもありません。
引き直し計算の結果=借金が残る場合
引き直し計算の結果、借金が減額されたが0円にはならなかったという場合は、減額後の借金のみを任意整理することになる。
この場合は任意整理なのでブラックリストに載ることになります。
任意整理後に過払い金は発生するの?
任意整理をした後に過払い金が発生することってあるんですか?
任意整理をした後は完済後でも過払い金が発生することはないよ。
そうなんですか?過去に法律の制限を超える利息で取引していたなら過払い金が発生しそうですけど?
任意整理をする時点で過去に法律の制限を超える利息での取引があれば引き直し計算を行っているからね。
だから、その後に完済してももう過払い金が発生することはないんだよ。
任意整理をする際に過去に法律の制限を超える利息での取引があれば必ず引き直し計算を行います。
本人で貸金業者と和解した場合
弁護士や司法書士に依頼せず、本人と貸金業者との話し合いで利息を下げていたり、利息を0%にしている人もいます。
ただし、和解時に和解書や覚書を交わしていて、今後は「お互いに債権債務なし」という、いわゆる清算条項が記載されている場合は過払い金を回収できない可能性があります。
「お互いに債権債務なし」という内容は、貸金業者から見て債務は過払い金を指します。
清算条項にお互いに合意しているから過払い金を返却する必要はないという主張をしてきます。
任意整理と過払い金請求の違い
任意整理は利息を0%にしてもらい元金だけを分割で支払う、借金の支払いを楽にする手続きです。
過払い金請求は過去に法律の制限を超える利息で取引をしていた場合に、払い過ぎた利息を返してもらう手続きです。
このように任意整理と過払い金請求は異なる手続きですが、借金が残っていて任意整理をしようとしていたのに、引き直し計算を行ったら過払い金が発生していて過払い金請求の手続きになる場合もあります。