債務整理の中でも個人再生や自己破産ではすべての債権者を手続きの対象にしなければいけませんが、任意整理では場合によっては任意整理する債権者を選択することができます。
任意整理する会社を選べる条件
任意整理では手続きをする会社を選択することができるんですか?
任意整理も原則としてはすべての債権者を手続きの対象にしなければいけないんだけど、借金が少額で弁護士、司法書士の費用を払うと任意整理するメリットがないとか理由がある場合は任意整理の対象から外すことができるよ。
少額の場合ですね!
任意整理する会社を選択できるのは他にどのような場合が考えられますか?
状況によるんだけど、まずは住宅ローンや自動車ローンだね。
住宅ローンや自動車ローンを任意整理すると自宅が売却されたり、自動車が引き上げられてしまうからね。
後は保証人がついているとか、銀行で借入がある場合にその銀行が給料の振込先口座に指定されている場合とかだね。
しかし、以下のような場合は例外的に任意整理の対象から外すことができます。
※参考:法テラス【債務の整理をしたいと考えています。どのような方法がありますか?】
少額の借入
任意整理のメリットは任意整理後の利息は0%にしてもらい、元金だけを分割で支払っていけるということです。
ショッピング一括払いの利用のみで、金額も非常に少額な場合も同様で任意整理をするメリットはありません。
住宅ローン、自動車ローン
住宅ローンを任意整理の対象にすると自宅が売却されますし、自動車ローンを任意整理の対象にすると自動車が引き上げられてしまいます。
任意整理から住宅ローンや自動車ローンを除外することで自宅の売却や自動車の引き上げを免れることができます。
保証人がついている
保証人がついている借金を任意整理すると、基本的には保証人に対して一括で支払えという内容の請求が行われます。
そのため保証人が付いている債務は任意整理から外すことで保証人へ迷惑がかかることを避けることができます。
銀行が給与振り込み口座に指定されている
銀行を任意整理すると一定期間その銀行の口座が凍結されます。
そのため通常は給料の振込先の口座を変更してから任意整理を行うことになりますが、職場によっては振り込み先の銀行が指定されていて振込先の口座を変更することがでない場合があります。
その場合はその銀行を任意整理の対象から除外することも可能です。
任意整理をする会社を選択できない場合もある
クレジットカードを利用し続けたいので、そのカードは任意整理の対象にしないということはできないんですか?
そのカードの利用がショッピング一括払いで非常に少額での利用であり、費用倒れになるような場合は任意整理の対象から外すこともできるよ。
ただし、それ以外の場合はクレジットカードを残したいというだけなら任意整理の対象から外すべきではないね。
そうなんですね・・・
クレジットカードを任意整理の対象から外しても、ブラックリストの影響を受けてカードが利用できなくなる可能性が高いからね。
クレジットカードについてはデビットカードである程度は代用可能だよ。
確かに・・・ブラックリストに載るならクレジットカードを残しておくのは難しそうですもんね。
そうだね。
ちなみに借金の一部を任意整理の対象から外すと、任意整理しても支払っていけそうにない場合はやっぱり全ての債権者を任意整理の対象にすべきだし、そもそも任意整理では支払えそうにない場合は個人再生や自己破産を検討すべきだよ。
以下の場合は任意整理の対象から一部の会社を除外することはできません。
クレジットカードは残したい
任意整理をする際にクレジットカードは手元に残しておきたいという要望を良く聞きます。
しかし、クレジットカードのキャッシングやショッピングのリボ払いでの利用がある場合は、クレジットカードも任意整理の対象にすべきです。
※参考:CIC【信用情報とは】
特にキャッシングの利用はなく、ショッピングもリボ払いではなく一括払いだけの利用で、その金額も少額で弁護士や司法書士の費用倒れになるような場合は、そのクレジットカードを任意整理の対象にする必要はありません。
ただしその場合もブラックリストの影響でクレジットカードが利用できなくなる可能性があります。
一部の債権者を除外すると支払えない場合
というのも一部の債権者を任意整理の対象から外すと、毎月の返済額があまり減らないという事態に陥ることがあります。
そうなると任意整理をしても支払っていくことが難しくなり、それでは任意整理をする意味がありませんし、結局後々で再度の任意整理や個人再生や自己破産を検討する必要がでてきてしまいます。
任意整理する会社を選べる?まとめ
・カードを利用し続けたいから一部のクレジットカードだけを任意整理の対象から除外するというのは、すべきではありません。
というのも任意整理をするとブラックリストの影響がでるので、除外したクレジットカードも利用できなくなる可能性があるからです。
・借金が少額で弁護士や司法書士の費用を払うと任意整理をするメリットがなくなるという場合や、保証人が付いている、住宅ローンや自動車ローン等は任意整理の対象から除外することができます。
しかし、上記の場合でも任意整理から一部の債権者を除外すると支払い金額が思ったように減らなく、支払いが楽にならないという場合は全ての債権者を対象にすべきですし、それでも支払いができそうにない場合は個人再生や自己破産を検討する必要があります。