個人再生にかかる期間と手続きの流れ【個人再生の手続き方法】

個人再生を専門家へ依頼する場合、どのように手続きが進んでいくのか?どのぐらい期間がかかるのか?

個人再生は債務整理の中でも1番複雑な手続きです。

事前になるべく不安を取り除き安心して相談できるよう、依頼をする方法と、その後の手続きの流れや期間に分けて書いていきます。

目次

個人再生にかかる期間

個人再生の手続きにはどのぐらいの期間がかかるんですか?

依頼から個人再生が認められるまでは1年~1年6ヶ月ほどかかります。

個人再生債務整理の中でも手続きに1番時間がかかる手続きです。

個人再生は裁判所で再生計画認可決定がされて、借金が減額される手続きです。

依頼から完了までにかかる期間
  • 依頼から裁判所への個人再生申し立てまで⇒6か月~10か月
  • 個人再生申し立てから裁判所での再生計画認可決定まで⇒6か月~8か月

依頼~個人再生申し立てまでの期間は、主に債権調査や費用の分割払いの関係で期間が変わります。

個人再生申し立て~認可決定までの期間は個人再生委員が選任されるかどうかで期間が変わります。

個人再生申し立て~認可決定までの期間は、個人再生委員が選任される場合は6か月ほど時間がかかり、選任されない場合は3か月と少しぐらいで手続きは終了します。

個人再生を依頼する方法

個人再生を依頼するにはどうすればいいですか?

個人再生を依頼するには、まずは弁護士や司法書士の事務所に電話等で相談をすることになります。

電話では借りているすべての業者の名前と借入額、取引年数、収入や生活状況等を聞かれます。

電話である程度確認した後に実際に弁護士や司法書士との面談になります。

個人再生に限らず専門家へ債務整理を依頼する場合、すべて専門家との直接の面談が必要になります。

電話等での相談

まずは電話やメールでの相談をすることになり、この時点でおおよその借り入れの状況を確認されます。

確認されること
  • 借入先の会社名
  • 借入額
  • 取引年数
  • 返済の状況
  • 毎月の返済金額
  • 収入
  • 支出
  • 借入の理由

聞かれるのは借りている全部の業者名、借り入れ額、借り入れ年数、滞納の有無、収入や生活状況等ですが、借入年数等は正確でなくてもかまいません。

弁護士、司法書士との面談

専門家との面談の際も借り入れ状況は確認されます。

個人再生は安定した継続的な収入がないとできない手続きなので、収入や仕事内容も聞かれます。

相談時の注意点として、隠し事をしないようにしてください。

相談者の中には知人や家族からの借り入れはしっかり返済したいとの思いから申告をしない人もいますが、個人再生はすべての債権者が対象になるので一部の債権者を除いて手続きを進めることはできません。

個人再生の相談

個人再生依頼後の手続きの流れ

個人再生の依頼後に依頼者がすることはありますか?

収入の金額がわかる給与明細や源泉徴収を集めたり、財産の調査で通帳や保険の解約返戻金、不動産や自動車等の証明書等を集めてもらうことになります。

また、毎月積み立て金をして、書類を集めた後も個人再生委員の事務所で面談をする必要があります。

専門家へ個人再生を依頼した後は専門家が手続きを進めていきますが、依頼者の方にも集めてもらう書類等があります。

手続きの内容を順番に書いていきます。

個人再生の依頼後の手続き

受任通知送付

専門家は依頼を受けたらまずは全ての債権者に対し、受任通知を送付します。

受任通知には、債務調査のため取引履歴を送付すること、取り立てをやめること、本人への連絡をしないこと等が記載されています。

これにより貸金業者への支払を止めても貸金業者からの取り立ては来なくなります。

住宅資金特別条項を利用して住宅ローンを手続きから外す場合は、住宅ローンのみ支払いを続けます。

積立金の支払い

専門家へ依頼後に依頼者がすることは積立金の支払いと下記の書類収集です。

積立金は弁護士や司法書士の費用と裁判所の費用になり、各業者への支払いを止めている間に行います。

書類収集

個人再生の申し立てに必要な書類を集めることになります。

個人再生に必要になる書類の一例
  • 収入証明=給料明細や確定申告書、源泉徴収
  • 財産等調査書類=通帳、保険の解約返戻金の額がわかる書類、有価証券、自動車関係(車検証、車の買い取り査定書)、不動産関係(査定書、固定資産評価証明、住宅ローン契約書)等
  • 住居関係=賃貸借契約書、登記事項証明書、住民票
  • 家計簿

債権調査

各業者から届いた取引履歴を元に正確な負債額等の債権調査を行います。

その際、利息制限法を超えた利息での取引があれば引き直し計算を行い、過払い金があれば取り戻します。

個人再生の申し立て

個人再生の申立書に集めた書類を添付して、印紙代、切手代と共に管轄の裁判所に提出して、予納金を納付します。

個人再生委員と打ち合わせ

個人再生委員と面談しますが、申立書の内容、債務、資産、家庭状況等を確認されます。

個人再生委員は裁判所に選任される弁護士で、裁判所に代わって監督指導を行います。打ち合わせは個人再生委員の事務所で行われます。

裁判所によっては個人再生委員が選任されない場合もあります。※東京地裁では選任されます。

弁護士申し立てではなく本人が申し立てる場合には個人再生委員が選任される等、裁判所ごとの取り扱いがあります。

履行テスト

再生委員が指定した口座へ、あなたが実際に個人再生後に支払っていくことになる返済額を毎月振り込み(積立)をします。

個人再生をした後に、ちゃんと返済できるのかを確認するためです。テストは半年間続きます。

積み立てた金額は個人再生委員の報酬を引き、残りは返金されます。

積立金ができなくなれば、個人再生をしても継続して返済ができないと評価されるので、個人再生が認められなくなる可能性があります。

個人再生手続きの開始決定

裁判所が個人再生の手続きを開始することを決定します。

個人再生委員が選任されている場合は個人再生委員が裁判所に対し、手続きを開始するべきかの意見書を提出します。

債権届け出期間

債権者(貸金業者や銀行等)より裁判所に対し、事前に債務者から届けられた債権額に間違いがないかの確認がされます。

異議申述(申立て)期間

あなたから裁判所に対し、債権者が届け出た債権額に間違いがあれば、その金額に対し異議を申し立てることができる期間です。

再生計画案を提出

裁判所に対し返済計画(減額後の金額、何分割での支払いになるか、住宅資金特別条項等)=再正計画案を作成し提出します。

分割回数は3か月に一度の支払になる場合が多いので、3年間での支払であれば12回払いということになります。

再生計画案の提出には期限があります。期限は裁判所ごとに異なりますが、この期限を過ぎてしまうと再生の手続きは終了して個人再生はできなくなります。

債権者の同意不同意・意見聴取

小規模個人再生の場合は債権者の過半数の同意と、その債権額が債権総額の過半数以上であることが必要になるので、不同意の場合には書面で届け出ることを求めます。

仮に過半数以上が不同意となってしまった場合には、小規模個人再生は認められないことになります。

意見聴取は給与所得者再生で行われます。給与所得者再生では債権者の同意は必要ではありませんが、法律違反等個人再生の不認可事由があれば届け出ることになります。

再生計画の認可・不認可の決定

裁判所が個人再生の要件を満たしているかの判断をし、再生計画を認可するか不認可するのかを決定します。

返済開始

再生計画通りに支払いをしていきます。

個人再生後に支払いが滞った場合

個人再生後に返済ができなくなったらどうなりますか?

個人再生後に返済が滞ると、個人再生が取り消されてしまう可能性があります。

個人再生が取り消されると減額前の金額を返済することになります。

ただし、返済ができなかったことにやむを得ない事情等があれば、返済期間の延長という制度もあるので早めに相談をすることが重要です。

個人再生は債権者に借金を減額してもらい分割で支払っていく手続きですので、再生計画案通りに支払っていくことが必要になります。

しかし個人再生後は3年~5年間という長期で返済を行っていきますので、予期せぬ事情等で支払いが滞ってしまう場合もあるでしょう。

そうなると債権者から裁判所に対し、個人再生計画の取り消しの申し立てをされることがあります。

再生計画が取り消されれば、せっかく認めてもらった個人再生の効果がなくなり減額はなかったことになります。

しかし、支払いが滞ってしまった場合でも再生計画の取り消し前であれば対処ができる可能性があります。

再生計画の変更申し立て

支払いが滞ったことにやむを得ない事情があれば、2年を超えない範囲で期間を延長してもらえる可能性がありますが、減額された借金を再度減額することはできません。

やむを得ない事情というのは非常に厳格で、自己都合での退職や浪費では認められません。

病気やケガ、リストラや減給等の、再生計画作成の時点では予想できなかったような事情であれば認められる可能性があります。

簡単に言うと自分には責任がないのに支払いが困難になってしまった場合に該当します。

ハードシップ免責

仕事を解雇になったり、病気で働けない等で収入がなく、そもそも再生計画を延長しても支払うことができない事態に陥ることもあります。

そのような事情で再生計画の延長では解決できない場合、次に検討するのがハードシップ免責です。

ハードシップ免責の条件
  • 再生計画の変更(延長)では支払いができない
  • 既に再生計画の3/4以上の支払いが完了している
  • 延長の申し立てと同様のやむを得ない事情がある
  • 個人再生申し立て時の資産価値以上の支払を完了している

上記の条件を全部クリアする場合のみ、残りの支払義務を免責してもらえる可能性があります。

しかし、非常に条件が厳格なのであまり利用されていないようです。

個人再生申し立て時の資産価値以上の支払を完了している、という条件がわかりづらいと思うので例を挙げます。

個人再生申し立て時に売却価格180万円の車があったとします。

しかし借金総額は1000万円あり、減額後の200万円のほうが金額が大きいので最低弁済額は200万円になります。

最低弁済額200万円のところ170万円までの支払いが終了したが、仕事を解雇されて以後の支払いが出来なくなってしまった場合。

200万円の3/4の金額は150万円ですが、170万円の支払いでは個人再生申し立て当時の車の資産価値180万円を下回っています。

この場合は180万円以上の金額を返済していないので免責が認められないということになります。

個人再生申し立て時に仮に自己破産をしていたとすると、資産は売却し債権者への返済に充てられることになりますが、

債権者の立場になれば、申立て当時の資産価値よりも返済額が少ないのでは、自己破産をしていた方が多くの金額を回収できていたことになります。

そのため、自己破産していた場合よりも多くの金額を既に返済していることも、ハードシップ免責の条件の1つになります。

ハードシップ免責の注意点

ハードシップ免責では住宅資金特別条項のようなものはないので、住宅ローンを外して手続きをすることができません。

認められれば、住宅ローンの支払いも免責されることになりますが、住宅ローンの抵当権には免責の効果は及びません。

銀行側は住宅ローンの抵当権を実行できるので、ハードシップ免責が認められても結局自宅が売却されてしまうということになります。

マイホームを守るために住宅資金特別条項を利用し個人再生をしたのに、結局自宅を売却しなければならない事態に陥ることになります。

再度の債務整理

再生計画の変更も、ハードシップ免責もできない場合に、他に取りうる手段としては債務整理を行うことです。

要件を満たしていれば再度の個人再生も可能ですが、一度目の個人再生時に減額された金額をさらに減額はされません。

減額前の金額に戻ったものを、再度減額してもらうことになります。

それでは意味がないんじゃないかと思われるかもしれませんが、再生計画認可後に別の借り入れが増えてしまっている場合、その債権者も含め再度の個人再生を行えますので、借金を減額するメリットがあります。

しかし、個人再生後に支払いが滞ってしまった場合に、再度個人再生を行っても支払いができる可能性は低いため、自己破産になる可能性は高いです。

※給与所得者等再生の場合は、前回の個人再生から7年以内に再度給与所得者等再生を行うことはできません。

個人再生の延長

個人再生の手続きと期間まとめ

以上個人再生の手続きにかかる期間と流れをまとめました。

個人再生は裁判所で行う手続きで、裁判所ごと運用の違いがありますので手続きの流れや期間については多少違ってくる場合があります。

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