自己破産をする場合に
- 手続きが終わるまでの期間はどのぐらいかかるのか
- どのように手続きは進んでいくのか
について書いていきます。
自己破産にかかる期間
- 自己破産の手続きってどのぐらい時間がかかるものなんですか?
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弁護士や司法書士への依頼から手続きが終わるまでは半年~1年ぐらいはかかります。
借入業者の数、財産の有無、同時廃止か管財事件か等によってどのぐらいの期間がかかるかは異なります。
自己破産完了までにかかる期間としては債権者や財産の有無、専門家の報酬の分割回数等によって変わります。
破産手続きは、下記の流れで進んでいきます。
依頼から破産申立てまでの期間
自己破産の依頼から裁判所への破産申し立てまでの期間は、3か月~半年ほどです。
主に取引履歴がどのぐらいで届くか、必要書類が集め終わるまでの期間、積立金が払い終わるまでの期間で異なります。
破産手続き開始から免責までの期間
財産がなく、免責不許可事由もないような場合は同時廃止になり、財産や免責不許可事由があると管財事件になる可能性があります。
- 同時廃止の場合=3ヵ月~6か月
- 管財事件=6か月~1年
どちらも東京地裁で運用されている弁護士申し立ての場合の即日面接なら、期間は1か月短縮されます。
同時廃止と管財事件の違いについては下記に詳しく書いていきます。
依頼から手続き終了までの期間
- 同時廃止=5か月~1年ほど
- 管財事件=9か月~1年以上
自己破産の手続きの流れ、依頼をするまで
- 自己破産の依頼はどのようにすればいいんですか
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まずは弁護士や司法書士の事務所へ電話等で問い合わせることから始まります。
電話では借りている会社の名前、借入額、取引年数、借金の理由、収入等を聞かれることになります。
その後弁護士や司法書士の事務所で面談が必要になります。
自己破産を専門家へ依頼する場合の具体的な依頼のながれについて。
事務所へ相談の予約の電話をする
- 借入先の会社名
- 借入額
- 取引年数
- 毎月の返済金額
- 収入
- 支出
- 財産
- 家族構成
- 借入の理由
上記は最低限聞かれます。
すべて詳細に答える必要はありませんので、おおよその内容で大丈夫です。
ただし、業者名と借入総額ぐらいはわからないと専門家も自己破産できるのか判断できませんので、ある程度は調べておきましょう。
専門家との面談
債務整理をする際は必ず専門家との面談が必要になります。面談の際も電話の時と同じように、業者名、借入額、取引年数を聞かれます。
その他、借入をした理由、収入や家族構成、家賃やその他財産等が聞かれます。
自己破産ができるのか(免責されるのか)を判断する大事な内容ですので、隠し事などすることなく正直に話しましょう。
隠し事をしていると免責不許可(借金がなくならない)となってしまう可能性もあるので注意してください。

自己破産の手続きの流れ、依頼~破産手続開始決定まで
- 自己破産の依頼後は何かすることはありますか?
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依頼者には書類を集めてもらったり積立金をしたり、裁判所に出頭したりしてもらうことがあります。
収入の証明で源泉徴収や給与明細。
財産調査で2年分の通帳や保険証券、車検証や固定資産評価証明書等が必要になります。
専門家に自己破産を依頼した後の手続きの流れを書いていきます。
受任通知送付
専門家は依頼を受けた後、すべての貸金業者に対して「受任通知」を送付します。
受任通知には、債務整理の依頼を受けたので取り立てをやめること、本人への連絡をしないことが記載されています。
そのため、受任通知送付後は貸金業者への返済を止めても貸金業者から督促が来ることはありません。
積立金
業者への支払いを止めている間に専門家の費用の分割払い、管財事件の場合に予納金が必要になるため、毎月積立金を行います。
債権調査
専門家は各業者から送られてきた取引履歴をもとに、正確な借金額を調査します。
同時に違法な金利で取引があった業者については引き直し計算を行い、過払い金が発生していれば過払い金請求を行っていきます。
資産調査等
売却価値20万円以上の財産がある場合や免責不許可事由があると、管財事件になります。
完済事件になると手続きにかかる時間も長くなりますし、裁判所への予納金が20万以上必要になります。
申立書の作成と必要書類の収集
専門家が申立書を作成しますが、依頼者の方も必要書類を集める必要があります。
- 課税証明書
- 住民票
- 預金通帳=2年分
- 給与明細=2か月分、退職金見込額の証明書。同居家族の者も必要
- 保険証券、解約返戻金の金額がわかる書類
- 車検証、査定書
- 有価証券
- 賃貸借契約書又は不動産登記事項証明書と固定資産評価証明書
上記以外にも状況により必要になる書類があります。
自己破産を裁判所に申し立てる
依頼者の住所地を管轄する地方裁判所に、自己破産を申し立てます。
その後1か月弱で破産手続きが開始決定されます。
東京地裁の場合は、弁護士申し立てであれば即日面接という制度があります。
即日面接では同時廃止の場合はその日のうちに、管財事件なら1週間ほどで破産手続き開始決定がされます。
裁判所での面談(破産者審尋)
裁判官と弁護士、破産者で自己破産するべきか?支払い不能なのか、同時廃止にするか管財事件にするか、不許可事由はないかを調査されます。
上記即日面接制度を利用している場合は破産者審尋は基本的に行われません。
破産手続き開始決定
申し立てに問題がなければ裁判所は破産手続きの開始を決定します。
ここから免責許可決定がなされるまでの間は破産者として扱われるので、該当する職業の人は職業制限されることになります。

以後の手続きは「同時廃止」と「管財事件」で異なります。

自己破産=同時廃止の場合
- 自己破産の同時廃止事件とはなんですか?
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処分する財産がなくて免責不許可事由もないような場合、自己破産は同時廃止という手続きになります。
処分する財産がなくても免責不許可事由がある場合は管財事件になる可能性があります。
裁判所は特に処分すべき財産がない場合、財産を売却~債権者への分配という手続きが必要ありません。
そのため、破産手続き開始決定と同時に破産手続きを廃止する決定をします。
同時廃止の場合は破産管財人も選任されないため、自己破産にかかる費用も少ないですし、手続きも簡易なもので終了します。
免責審尋
破産手続き開始決定から1か月ほどで免責審尋が行われます。
免責審尋では免責不許可事由がないか?等を確認するため、裁判所で裁判官と面接を行います。
複雑な事情がなければ数分で終わる簡単なものになります。
免責の許可又は不許可の決定
免責審尋から1週間ほどで裁判所が免責の許可又は不許可の決定をします。
免責許可決定がされることで借金の支払いをする必要がなくなります。
免責許可決定後は官報に掲載され、その後免責が確定します。
免責の許可決定から確定までは1か月ほどです。
確定するまでの期間は、債権者が異議を申し立てることができる期間です。
自己破産=管財事件の場合
- 自己破産で同時廃止ではなく管財事件になった場合はどうなるんですか?
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管財事件になると破産管財人が裁判所から選任されて破産管財人との面談が必要になり、債権者集会も開かれます。
同時廃止よりも費用が多くかかり、自己破産手続きの時間も長くかかります。
清算価値がある財産を持っていたり、免責不許可事由に該当する場合には、同時廃止ではなく管財事件になる可能性があります。
破産管財人の選任
破産手続き開始決定から数日で裁判所から破産管財人が選任されます。
破産管財人は破産者の財産を管理、売却処分等を行います。
管財事件の場合は管財人に対して予納金というものが必要になります。
弁護士申し立ての少額管財では20万円、その他管財事件では50万円~となります。
予納金の分割払いは裁判所によっては認められません。東京地裁では分割払いも認められています。
破産管財人との面接
破産開始から数週間後に、破産管財人の事務所で面接が必要になります。
面接では生活状況や多重債務に陥った理由等を質問されます。
債権者集会
裁判所で債権者集会が開かれます。破産管財人から財産の処分状況、どのぐらいの配当になるのかが報告されます。
債権者集会と言っても貸金業者が出席することはほとんどありません。
財産の処分が終わっていないような場合には次回の期日が設定されることがあります。
免責審尋
債権者集会が終わったらそのまま免責をするべきかの審尋が行われ、破産管財人が意見を述べます。
依頼者の方も出席する必要がありますが、数分で終わる手続きです。
免責の許可又は不許可の決定
同時廃止の場合と同じように裁判所が免責の許可又は不許可の決定をします。
免責許可決定がされることで借金の支払いをする必要がなくなります。
免責許可決定後は官報に掲載され免責が確定しますが、許可決定から確定までは1か月ほどです。
確定するまでの間は債権者が異議を申し立てることができる期間です。
自己破産の手続きと期間まとめ
以上自己破産手続きがどんな流れで進められるのかという点とその期間についてまとめました。
自己破産は裁判所によって運用が異なりますので、手続きの進め方も期間も裁判所ごと異なることがあります。
ただ、一般的には上記のとおりで進められていきます。
同時廃止になるか管財事件になるかで、必要になる費用や手続きにかかる手間が大きく異なります。