債務整理と保険の関係【保険審査や解約返戻金への影響】

  • 債務整理をすると保険は解約になるのか
  • 債務整理後は保険を契約することはできるのか

任意整理をすると生命保険等の保険は解約されてしまう?任意整理後は生命保険等に入ることはできなくなるのか?

保険と任意整理の関係について解説します。

目次

債務整理をすると保険は解約になる?

債務整理には任意整理と自己破産、個人再生の3つがあります。

それぞれの債務整理手続きごとに分けて解説します。

任意整理

任意整理をすると保険に影響はありませんか?

任意整理を行っても保険は解約にはなりません。

個人再生や自己破産では影響がでることがあるので注意が必要になります。

保険加入中に任意整理を行っても保険は何ら関係がないものなので、生命保険が強制的に解約になることはありません。

積み立て型、掛け捨て型どちらでも解約になりませんし、解約返戻金にも影響はでることはありません。

自己破産と個人再生では解約返戻金がある場合は注意が必要になります。

自己破産

自己破産では保険に影響はありますか?

保険の解約返戻金がある時に問題になります。

自己破産では解約返戻金は財産として計上されるので、解約返戻金が20万円以上ある場合は原則は保険を解約することになります。

自己破産の手続きでは財産は処分しなければならないので、解約返戻金があれば原則は保険が解約になり、解約返戻金は処分される可能性があります。

解約返戻金が20万円未満で裁判所に自由財産として扱われれば保険を解約せず済み、その際は解約返戻金も処分されません。

解約返戻金が20万円以上ある場合も、裁判所に自由財産の拡張が認められれば解約は必要ありません。

※掛け捨て型等の解約返戻金がない保険は解約の必要はありません。

自己破産と保険
  • 解約返戻金がない保険=解約にはならない
  • 解約返戻金が20万円未満=自由財産と認められれば解約にならない
  • 解約返戻金が20万円以上=解約になり解約返戻金は処分される(自由財産の拡張が認められれば解約にならない)

個人再生の場合

個人再生では保険に影響はありますか?

保険の解約返戻金がある時に問題になります。

個人再生では解約されることはありませんが、財産として計上されるので借金が通常よりも減額されないことがあります。

個人再生では保険を解約になることはなく、解約返戻金も処分されることはありません。

ただし、個人再生には清算価値保障原則があるので、個人再生を行って減額になった金額を財産の金額のほうが上回っているケースでは、その財産の金額分までの減額に留まります。

そのため、解約返戻金があると通常よりも借金が減額してもらえない可能性があります。

逆に言うと解約返戻金を含めた合計の金額よりも減額後の借金の金額の方が上回るのならば関係ありません。

個人再生と保険
  • 個人再生では保険は解約にならない
  • 減額後の借金と比べて解約返戻金を含めた財産の方が上回っている=財産の合計額までの借金になる

(減額後の借金が100万円・財産の合計額が130万円の場合=借金は130万円までしか減額されない)

債務整理後に保険契約はできるか

債務整理をした後に保険を契約することはできますか?

債務整理後でも保険に入ることは問題なくできます。

借金やローンを組むのとは異なり、ブラックリストに登録されていても保険の契約には影響はありません。

債務整理を行うと信用情報に事故情報が記載され、いわゆるブラックリストに載ります。

お金を借りるとかクレジットカードを作成する、ローンを組むという際はブラックリストに載っていれば審査に通るのは難しくなります。

一方、保険の審査は健康状態や、職業面、不正な利用防止の観点からの審査です。

健康状態では年齢や、人間ドックや健康診断の結果や、肥満度合い、喫煙状況、持病、過去の入院歴、怪我等を考慮されます。

職業面では危険物の取扱や、高所作業等で怪我や事故のリスク等を考慮されます。

不正な利用防止の観点では、保険金詐欺や反社会的勢力の関与等で、収入と保険金額に大幅なギャップがないか被保険者と受取人の関係等を考慮されます。

保険の契約はお金を貸りるとかローンを組む行為とは違い、例え債務整理をしてブラックリストに載っても保険の契約に影響はありません。

債務整理をすると契約者貸付への影響は?

保険を担保にお金を借りてますが債務整理に影響はありませんか?

任意整理では関係ありませんが、個人再生や自己破産では解約返戻金から現在の借入額を引いた金額が財産に計上されます。

そのため、個人再生で減額される金額が減ったり、自己破産では解約になる可能性があります。

契約者貸付は解約返戻金の範囲内で借入を行うことができる制度です。

そのため通常の借金やローンとは異なり審査はなく、たとえブラックリストに載っても通常どおり利用できます。

任意整理の場合

契約者貸付以外の他の借入を任意整理しても、保険は解約にならず継続できます。

個人再生の場合

契約者貸付を利用している状態で個人再生をしても保険は解約にはなりません。

ただし、解約返戻金から借入額を引いた金額が財産に計上されます。

財産の合計額が減額後の借金の金額を上回ると、財産の合計額の減額に留まります。

仮に解約返戻金が300万円、契約者貸し付けが50万円=250万円が財産として計上される。

減額後の借金が200万円だった場合は財産の金額が上回っているので、250万円を分割で返済することになります

自己破産の場合

解約返戻金から借入額を引いた金額が財産に計上されます。

その金額が20万円を超えると、保険は解約になり処分されます。

20万円未満でも原則は処分対象になりますが、自由財産として認められれば保険は解約にならず、解約返戻金も処分されません。

解約返戻金が50万円、契約者貸し付けが20万円=30万円が財産として計上される。

上記の場合は、20万円を超えているので保険を解約して解約返戻金は処分されることになります。

任意整理(債務整理)と保険の関係まとめ

まず、任意整理は保険とは全く関係がなく、任意整理を行っても保険を解約にはなりません。

個人再生でも保険は解約せずに済みますが、借金の減額後の金額と解約返戻金を含めた金額の高いほうの金額までしか減額されません。

債務整理をして保険が解約になるのは、解約返戻金がある保険があり、自己破産を行うときだけです。

※解約返戻金が20万円未満で、自由財産の拡張が認められれば解約する必要はありません。

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